甘恋集め

大きく笑った顔はとてもかわいくて、隣で不機嫌な顔をしているおじさんとは対照的。

おじさんのそんな様子を全く気にしていないのか、手を大きく上下に振りながら

「さ、座って座って。いいのよ、結婚したい人と結婚しなきゃ幸せにはならないんだから」

あっけらかんと話すおばさんを、厳しい目で見たおじさんは、

「利也くんと結婚したって幸せになれる」

大きな声で叫ぶと、顔を真っ赤にして息を吐いた。

そんなに利也くんと私を結婚させたいのかな。

気付かなかったな。駆と出会うまで、曖昧にしていた事を後悔してしまう。

確かに利也くんの事、嫌いじゃないし、結婚しても大切にはしてくれるとは思うけどな。

でも、やっぱり私は駆がいいし、どう言えばおじさんにわかってもらえるんだろ。

私と駆は、おばさんの気遣いで、再びソファに腰かけた。

んー、どうすれば、おじさんが賛成してくれるのか、難問だな。

でも、私の気持ちが揺れることはないんだけど。

駆だって私と同じ気持ちのはずだ。

うーん、とあらゆる展開を考えてみるけれど、どうしていいのかわからない。

その時、俯いて考え込んでいた駆が顔をあげて。

「僕との結婚に賛成していただけないのは、僕には子供を持てないというのが理由でしょうか?」

今日初めて聞く、駆の低い声。

膝の上に置かれた手は、さっきと同じだ。

力いっぱい握られている。真っ白だ。