甘恋集め

絞り出すような声に、少し胸が痛くなる。

おじさんの表情は、私と利也くんの結婚を切望しているのがありありと浮かんでいる。

こんな顔をさせてしまうとわかってたから、今まで自分の気持ちを言えなかった。

お世話になったおじさんの意に反する事ができなかった。

でも。

「無理。駆がいいの。ごめんね」

今となっては、こんなあっさりとした言葉を並べて自分の気持ちを口にする。

ぐずぐずと、いろんな言葉で理由を言うよりもきっぱりと。

この場に来てすぐ、駆がはっきりと私への気持ちを言ってくれたから。

私も負けずに、駆との未来を引き寄せなくてはいけないって思った。

「僕も、美乃さんがいいんです。お願いします、結婚させてください」

ソファから立ち上がって、おじさんに頭を下げる駆につられて、私も立ち上がって頭を下げた。

隣で頭を下げる駆の手は握りしめられていて、白くなっている。

それだけ力が入っているんだろうな……。それは私への強い思いそのものだから、嬉しくなる。

しばらく頭を下げていると、その場に似合わない高く明るい声でおばさんが言った。

「いいわよ。とっとと結婚しなさい。そのかわり、披露宴の準備は手伝わせてね。私には娘がいないから、一緒に楽しませて欲しいの。いいでしょ?」