「で、園田くんは、美乃ちゃんと結婚したいって?」
長い沈黙の後のおじさんの言葉に、その場の視線は駆くんに集まった。
もちろん私も。
この部屋に通されてすぐに、『結婚』という言葉をおじさんに伝えた駆くんは、返される言葉がどうであっても構わないという余裕さえ浮かべていた。
もし反対されたとしても、私との未来を諦めないと無言の視線で語っている。
隣にいる私を安心させるように笑いかけてくれる仕草からもその思いは感じられて、私も同じ気持ちになる。
この場の雰囲気、特におじさんの醸し出す張りつめた空気とは逆の、体から力を抜くことができる、程よい気楽さ。
それは駆が作り出して、私に分けてくれるもの。
いい具合の緊張感と、私への強い執着心が駆に満ちている。
「はい、結婚したいです。美乃さんを、ちゃんと大切にします」
強い目で、はっきりと言い切った駆の隣で、私も大きく頷いた。
結婚したいっていうか、する。
そんな気持ちを込めて、おじさんを見ると、口元を引き締めて何かを我慢してるようだ。言いたいことがあっても言わずに堪えてるみたい。
でも、私と目が合った途端に
「……利也くんと結婚して欲しかったなあ。やっぱり、無理か?」

