「うわ、化け物の近くまで来ちまった」
「帰ろうぜ」
「そうだよなー」

化け物のことは、このあたりの人達なら知っている。
他の場所の人達は物語の存在だと思っているが。

その様子を窓から見ている少女。
――いや、人間たちがいうに“化け物”だろうか。

「はあ…やっぱり、ダメなんだよね…」
やっぱり、誰も信じてくれない…。
目を隠せばいいだけじゃんか？
皆、一緒に遊んでくれないのかな、ずっと、ずっとこのままなのかな…。

「一人は…いやだよ？――…來」
私の名前は、なんですか？
無意識に呼んでしまった…。
來って、誰ですか――？