柚葵Side


あたしと翼の出会いは 翼の働いていた花屋さんだった。


あたしは 花が好き。

色がカラフルで可愛いし、花の香りもすきだから。

あの時 あたしは、花屋さんで ピンク色のカーネーションを買った。

気分が良かったから。

店を出ようとした時、あたしは なにかにつまずいて

派手に転んでしまった。

ハッピーだった気持ちも

今は恥らしい気持ちでいっぱいだ。

そのとき花屋さんの店員が

『大丈夫ですか??』と声をかけてくれた。

店員はとても心配そうに

顔をのぞきこんできた。

「だ・・・大丈夫ですっ・・・」

恥ずかしい。大人の自分が 派手に転んで

そのうえ、人に見られてたなんて。

『あっ・・・血でてるじゃないですか。』

・・・本当だ。

恥ずかしさのあまり、痛みなど感じなかった。

『ちょっと待っててください。消毒しますから。』

この店員さんとても優しい。

「す・・・すいません。本当に。」

『大事なお客様が怪我をしているのにほっとけませんからね。』

というと店員はすぐに救急箱をとってきてくれた。

『大丈夫ですか?』

「はい。ありがとうございます。」

「では。」

お礼もまともにせず、あたしは走り去った。

明日、花屋に行こう。