『なんでそうなるのよ!!っていうか、近づいて来ないで!!』
「えー、なんでー?」
じりじりと不服そうに迫ってくる壱に、焦りながら後ろに下がってくあたし。
トンッ
『あっ…!』
だけどすぐに壁に阻まれた。
こうなったら走って逃げるしか…
パンッ!!
『!!!』
そう思った時にはもう遅くて、壁に付けた壱の両手に挟まれた。
「残念♪行き止まりだね?」
『…!!』
さっき一瞬浮かべたような艶っぽい瞳に見つめられて固まるあたし。
目の前にはわんこの皮を被った狼。
無邪気に追いかけて来たり
上目遣いで甘えて来たり
普段はウザい位に無邪気で、素直な子犬のよう。
だけど、時々顔を出す一面は……
「美耶…好きだよ」
『っ…///…んっ……』
…何処までも甘い。
例えるなら、さっき混ざり合ったキャンディよりも――。
*end*

