数分待ってみたが、鉄パイプで殴られたよ
うな痛みは無かった。
「あれっっ…」
辺りを見回すと、蓮が一人で壁にもたれ掛
かっている。
んじゃあ、私を抱き締めてくれたのって?
少し、辺りをキョロキョロすると、
一人の男性が、うつ伏せに倒れている。
その人のところまで行くと…
頭から、血が出てる!!
そして、体には無数のアザがあった。
そこでようやく、私は状況を理解した。
私なんかを守るために、自分の身を犠牲に
してくれたなんて…
そう思うと、急に涙が溢れてきた。
とりあえず、その男性を担ぎ上げ
病院へ向かった。
時刻は、もう遅い時間になっていた
大丈夫だよね…
あの人…私、ちゃんとお礼言わなきゃいけ
ないんだから…
死んだりしないで。
そう考えていたら、看護婦さんに声をかけ
られた。
「あの…。もう、遅いから家に帰った方が
良いわよ。」

