ひまわり(第2章まで公開)

その場で足を止めて、彼女はごそごそと携帯電話を探し始めた。
放って行かないようにと立ち止まった俺は、彼女の姿を見た瞬間、すぐに誰からの電話なのかがわかってしまった。
さっきまであんなに明るくしていたはずなのに、今は血相を変えて慌てている。
鳴り続ける音楽は、確かテレビドラマの主題歌で流行っていた曲だ。
少し前にある店で流れていて、一緒にいた広美ちゃんが、こんな風に相手に想われてみたい、と言っていた恋愛の歌。
三浦専用の着信音にしているのだろうな、と思った。
じゃなきゃ、こんな風に曲を聴いただけで慌てることはないはずだ。