ひまわり(第2章まで公開)

薄暗くした部屋の中、数人の男女が流れる音楽で気分を上げていく。
「次、誰?」
「あー、俺だ」
テレビ画面に表示された楽曲を見て、マイクを手にする友人。
「ねぇ、番号教えてよ」
一方では、初めて会う女の子の肩に手を回して、番号を聞き出そうとしている奴もいる。
悟たちと別れた俺は、地元の友人と約束をしたカラオケボックスに来ていた。
「背、高いよね?何センチ?」
「ん? 181」
友人が連れてきた女たちの1人は、俺に興味を持ったのか、ずっと隣に腰掛けたまま歌おうともしていない。
質問に答えると、その女は長い髪の毛を指で触りながら、体を寄せてくる。
甘い香水の匂いが、微かに漂った。
「何か、頼む? もう少しで無くなるでしょ」
俺はその女のグラスを見て、次に注文するドリンクを聞こうとした。