ひまわり(第2章まで公開)

「まだ時間あるよね?」
振り向くと、鞄の中から携帯電話を出して、彼女は時計を確認していた。
閉園までは、後15分くらい残っているはず。
俺は首を傾げながら、彼女の言葉を待った。

「間に合ってよかったぁ」
窓に手を当てて見下ろせば、イルミネーションを飾ったアトラクションや花畑が、小さく遠のいていく。
俺と坂下は、パティオ全体を一望できる観覧車に乗っていた。
急に乗りたいと言い出した彼女には驚いたけれど、まだ帰りたくなかった俺はもちろんOKの返事をした。