ひまわり(第2章まで公開)

夕方に差し掛かる頃、俺たちは園内にある洋食屋で軽く飯を食った。
その後は、パティオの敷地の3分の1を占める花畑を歩いていく。
蝶々のような赤い花びらが綺麗な鳳仙花。
葉を松に、花を牡丹に見立てたところから名がついた、松葉牡丹。
ガイドブックに載っているそれらの説明を、嬉しそうに読む坂下。
中学時代に戻ったかのような気分だった。
「わぁ…、たくさん咲いてる」
松葉牡丹の花畑から少し歩くと、誰かが来るのを待ちわびていたかのように、ひまわりの花はこっちを向いて咲いていた。