ひまわり(第2章まで公開)

このまま一緒に居ても、状況は悪くなるだけだと思った。
ひんやりとした缶ジュースを片手で握り締め、俺は深呼吸を繰り返す。
「よし!」
気合いを入れ直して、坂下のもとへ駆けつける。
「フルーツのジュース、好きだったよな。これでいい?」
うつむいたままの彼女の頬に、ぴったりと缶を当てる。
急に押し当てられ驚いていた彼女は、缶ジュースを受け取ると、お金を払おうと財布を鞄から出した。
「ありがと」
普段は120円とか受け取ったりしない俺。
だけど、彼女の場合は違う。
「お金で人の気持ちを買えると思ってんでしょー? 大間違いなんだからね!」
中学時代、俺のこういうところを彼女は嫌がっていたから。