ひまわり(第2章まで公開)

その台詞を聞いて、俺の気分は一瞬にして落ちていく。
チケットを手に入れたとき、ひまわりの写真が載っていたことで、俺は坂下のことを思い出していた。
それと同じように、彼女はきっとCMを観たとき、三浦と一緒にあの花を見たいと考えていたんだと思う。
完全に選択ミスだ。
返す言葉が浮かばなくて、俺は黙り込む。
横目で様子を伺うと、彼女は窓の向こうをぼんやりと眺めて、小さくため息をついている。
中学時代と全く変わっていないな、と思った。
いつだって彼女は三浦のことを考えていて、俺はそんな姿を見つめるばかり。
親父にこのチケットを貰ったとき、花の絵を見て、俺は坂下のことを思い出したんだ。
ひまわりの花を見たくなくて、他の女に行きたいと言われても、混んでるからという理由で断ってきた。
だけど、坂下と一緒に行くならここしかないと思ったんだ。
あの頃のように、花を前にして微笑む彼女が見たかったから。