ひまわり(第2章まで公開)

カランカランと鳴るドアを開けて店を出ると、中が薄暗かったせいか、外が妙にまぶしく見えた。
目を細めながら、俺はそのまま駅へと向かう。
「俺が好きだったこと、完全に忘れてるし」
小さなため息が出る。
広美ちゃんが悟を選んでから、1年半の時が過ぎている。
彼女に対する気持ちなど、今は持っていない。
悟のことは彼女よりも大切な存在だし、2人の付き合いに反対もしていない。
だけど、目の前で堂々といちゃつかれると、見ていて楽しくないのが正直なところ。
それは、今の俺に本命の相手がいないからだ。
俺はそっと視線を移し、駅前の花屋を眺めた。
こじんまりとした店の前で、華やかに咲き誇るひまわりの花。
自然と、足が止まってしまう。
同時に思い出すのは、中学時代の思い出。