ひまわり(第2章まで公開)

待ち合わせ場所は駅前の本屋。
10時前に行くと、彼女はすでに到着しており、店先に置いてある雑誌を眺めていた。
背後から声をかけると、彼女は振り向き、うつむき加減で挨拶を返してくる。
俺たちは二言三言、会話をして、そのまま電車に乗った。
休日の家族連れが多く、車内は騒がしい。
椅子に座ることも出来なくて、俺たちはドアにもたれるようにして立っていた。
話しかけても会話は続かず、周りとは違って俺たちは静か。
普段、通学に電車を使うけど、地元の友達と話をしていたり、音楽を大音量で聞いているから、こんなに景色をまじまじと眺めることもない。
話のネタにつきた俺は、シーンとした空気に耐えれず、財布の中に入れていたチケットを彼女に手渡した。