ひまわり(第2章まで公開)

「ひまわりの花言葉って知ってる?」
俺は制服のポケットから携帯電話を出して、時間を見ながら問いかけた。
ふざける悟に怒った表情をしていた彼女は、目を大きく開いて「知らない」と返してくる。
「“あなただけを見つめる”」
そう言って、俺は席を立った。
「え、もう帰んの?」
花言葉を聞いてうっとりする彼女の隣で、悟はスプーンを持ったまま声をかけてくる。
同じように広美ちゃんも、引き止めるかのような目で俺を見上げている。
「用事があるんだ」
にっこりと微笑む俺は、テーブルの端に置いていた伝票を手に取った。
「いいよ、払うって」
「そうだよ」
2人は急いで財布を出そうとする。
俺はクスクス笑いながら、「今度、何かおごって」と言って、レジへ向かった。