ひまわり(第2章まで公開)

「メールを見ちゃったんだ」
窓の向こうの道路をぼんやりと眺めていた俺は、やっと話し始めた彼女を横目で見る。
俺と再会した日、坂下は学校帰りに三浦と会い、喫茶店でたわいない時間を過ごしていたらしい。
いつもと同じように、その日の出来事や、共通の友達の話をして笑いあう。
自分に対する三浦の対応に、何の変化も感じなかったらしい。
だけど、トイレに行くと言って席を外した三浦の携帯電話が、坂下の目の前で激しく振動する。
テーブルの上でガタガタと音を鳴らすそれを、坂下は手に取った。
最初は、早く戻らないかなと思いながら、トイレの方をチラチラ見ているだけだった。
だが、三浦はなかなか帰ってこない。
坂下は何も考えず、誰からの電話かと思い、携帯電話を開いていく。
そして、画面に聞いたことのない女の名前を見て、不安になったらしい。