ひまわり(第2章まで公開)

「こんな暑い日に、よく外で遊ぶ気になれるよなぁ」
ある日の昼休み、屋上でパンを頬張っていると、隣で悟がつぶやく。
校庭を見下ろせば、1年の生徒がバスケをして遊んでいた。
「若いからじゃね?俺ら、もう歳だし」
たった2年しか変わらないのに、なぜか1年は子供っぽいイメージがある。
3年になった俺らは、進路のことや、自分の将来を少しだけ考えることもあり、何も悩まずに遊んでいられる1年がまぶしく見えていた。
「まだ17、8じゃん」
悟も同じことを考えているはずなのに、そう言って微笑する。
それは、きっと、このままでいたいと思っているからだろう。
「健二って、進路希望の用紙に何て書いてんの?」
食べ終わって、暖かいコンクリートの上で寝そべる俺に、ふと思い出した様子で問いかけてくる悟。
「んー、適当に行けそうな大学」
そう答えると、悟は「ふーん」と言いながら、思いつめた表情をする。
「何?悩んでんの?」
俺は体を起こして、首を傾げた。