「卒業したら家を出るし、荷物になるから置いてないんだよ」
兄貴の下にある布団を引っ張りながら、言い返す俺。
すると、兄貴は穏やかな声でこう言った。
「親父の金で、一人暮らしでもすんのか?」
その言葉に、カチンときた。
「…出てってくんねぇかな」
体を起こして、兄貴を睨みつける。
「ノックすることが必要ねぇなら、この部屋には近づくなって教えとけよ。踏み潰すぞ、このガキ」
あごで大輔を指しながら、俺は喧嘩腰で兄貴たちを追い払う。
同じ空間にいることすら耐えられなかった。
テレビのリモコンを触っていた大輔は、声を張り上げた俺を見て、少しおびえているようだった。