部屋のドアを開けたのは、甥っ子の大輔だった。
兄貴は子供が生まれてから、この家によく帰ってくる。
ここに来れば祖父母に可愛がられるから、大輔はいつもニコニコしていて、自分を嫌う存在がいることなど、きっと考えたこともないだろう。
「まだ3歳なんだから、ノックとか必要ないよ」
兄貴はそう言って、横たわる俺の側に近づき、ベッドの端に腰を下ろした。
「相変わらず、殺風景な部屋だなぁ」
部屋を見渡して、くすくす笑う兄貴。
俺は、奥歯を強く噛む。
大輔が勝手にドアを開けたことや、便乗して兄貴まで普通に入ってきたこと。
そして、今、隣で笑われていることも。
敏感なほどに、全てが癇に障り、俺はイライラしていた。