その夜、俺は自分の部屋で、ぼんやり天井を眺めていた。
頭の中を渦巻くのは、今日の出来事。
三浦の話をする坂下の姿が、目に焼きついていた。
本当は悲しいくせに、笑いながら平気そうに振る舞うところは、昔と全く変わっていない。
深いため息をつきながら、ベッドの上で横になり、頭の後ろで腕を組む。
すると、突然、部屋のドアがゆっくりと開いた。
体をひねり、誰が入ってきたのかを確認した俺は、その相手を邪険な目で見下ろし、再び壁側を向いた。
てくてくと近づいてくる足音が聞こえ、苛立ちが募る。
「ドアノブにも手が届くようになったから、今はドアを開けるのが楽しくてしょうがないみたいなんだ」
後から訪れた兄貴が、嬉しそうな声で話しかけてきた。
「開ける前にノックすることも教えたほうがいいんじゃない?」
俺は2人に振り返ることもなく、背を向けたまま、そう言い放つ。