「これさぁ、絶対、生クリームで騙してると思わねぇ?」
ほら、今だってこんな風に、喫茶店に入っても注文する品がまったく違う。
「文句言ってねぇで、早く食えよ」
アイスコーヒーを一口飲んで、俺は呆れた表情をした。
悟は大きなチョコレートパフェを、グラスの外からじろじろ眺めている。
「だいたい、メロンがない時点でおかしいし。メニューには載ってたんだぜ?詐欺ってるよな、絶対に」
梅雨も明けて、太陽の日差しを暑いと感じる季節。
何か飲みたいって言うから喫茶店に入ったのに、わざわざ喉が渇くようなものを頼んで、愚痴をこぼす。
悟のこういうところは、本当に子供っぽい。
「二度とこの店でパフェは食わねぇ」
散々、文句を言った後、悟はようやくスプーンで生クリームをすくい始めた。
こんなところもあるけれど、俺はこいつより子供かもしれない。
なぜならば、俺がいまだに出来ないでいることをやってのけたからだ。