ひまわり(第2章まで公開)

数日後、俺は一旦、家に帰って、悟がバイトをしている居酒屋に足を運んでいた。
同席しているのは、広美ちゃん。
厨房で働く悟は、彼女に自信のある料理を食べてもらうことが生きがいだと言う。
去年までは、彼女の弟が俺の代わりに来ていたらしい。
だけど、中学3年になったその弟は、塾に通い始めたらしく、夕方のこの時間は忙しい。
つまり、俺は彼女が1人で来づらいから、付き添っているってわけ。
まぁ、悟は俺の分も自腹で払うからって頼んでくるし、出てくる料理もなかなかうまいから、月に一度だけならと言って2人に付き合っているんだけど。
「ジャーン! お待たせしました! パリパリチーズの照り焼きサラダです!」
待つこと15分くらいかな、白服に身を包んだ悟が、自ら料理を持ってきた。
「うまそうじゃん」
東京タワーのように盛り上がった野菜の表面には、カラッとしたチーズが貼り付けられている。
滑稽な見た目だけど、悟が言うにはこの店は創作料理を出しているらしいから、こういうのもアリなんだろう。
「だろ? これ、俺が考えたんだぁ。店長がさ、メニューに入れてもいいって言ってくれてさ! あ、そのサラダさ、中が見えないけど、照り焼きの鶏が入ってるんだぜ!」