部屋のドアを勢いよく閉めた俺は、手にしていた鞄をベッドの上へと放り投げる。
そして、ネクタイの結び目に指先を通して、荒々しくほどいていた。
久しぶりに帰ってきた兄貴の名前は、誠一。
俺とは9つも歳が離れていて、今は父親の会社で働いている。
爽やかな人間と一言で例えても、おかしくはないだろう。
いつも笑顔でいて、苦労など知らなさそうに見えるから。
スポーツも勉強も何でもサラッとこなす人だから、幼い頃は友人に「あんなお兄さんがいて良いよな」と羨ましがられることもよくあった。
その度に、俺は表情を歪めていたけれど。
1階から、兄貴たち夫婦の声と、嬉しそうな親の笑い声が聞こえてくる。
きっと、3歳になる兄貴の子供を見て、楽しんでいるのだろう。
「…るせぇよ」
イライラした気持ちをぶつけるかのように、俺は脱いだ制服を地面へ叩きつけていた。
そして、ネクタイの結び目に指先を通して、荒々しくほどいていた。
久しぶりに帰ってきた兄貴の名前は、誠一。
俺とは9つも歳が離れていて、今は父親の会社で働いている。
爽やかな人間と一言で例えても、おかしくはないだろう。
いつも笑顔でいて、苦労など知らなさそうに見えるから。
スポーツも勉強も何でもサラッとこなす人だから、幼い頃は友人に「あんなお兄さんがいて良いよな」と羨ましがられることもよくあった。
その度に、俺は表情を歪めていたけれど。
1階から、兄貴たち夫婦の声と、嬉しそうな親の笑い声が聞こえてくる。
きっと、3歳になる兄貴の子供を見て、楽しんでいるのだろう。
「…るせぇよ」
イライラした気持ちをぶつけるかのように、俺は脱いだ制服を地面へ叩きつけていた。



