ひまわり(第2章まで公開)

「まぁな」
三浦は坂下の腕をグイッと引き寄せて、肩を抱く。
見せつけるかのように、余裕の笑みで。
だけど、俺は三浦の態度より、坂下の表情に目が向いていた。
あきらかに、こいつの方を嫌がっているように見えるから。
「…彼女?」
三浦は坂下の肩をがっしりと掴んだまま、俺の隣にいる女のことを尋ねてきた。
何て答えようかと考えながら、俺は横にいる女へと視線を移す。
そのときだ。
「放して」
突然、坂下が三浦の手を振り払った。
うろたえる三浦を険しい表情で睨みつけ、彼女は逃げるかのように走り去っていく。
「愛子!」
三浦は慌てて、彼女の後を追おうとする。
だが、彼は遠くなる後姿を眺め、諦めたかのようにこの場から動かず、ため息をついた。