ひまわり(第2章まで公開)

「坂下、ちょっといい?」
スクッと立ち上がり、テーブルの向こうにいる彼女に声をかける。
楽しそうに笑いあう2人を横目で眺めながら、俺は坂下を部屋の外まで連れ出した。
「なんで怒ってんの?」
階段を降りて、旅館のロビーにある売店に入った俺は、後をついてくる彼女に問いかける。
ずっと考えていたけれど、怒らせるようなことをした覚えがない。
悩むより本人に聞いたほうが早い、と思った。
「…怒ってないよ」
坂下はブスッとした表情のまま、売店にあるキーホルダーを触っている。
俺はハァッとため息をついて、その手をギュッと掴んだ。