ひまわり(第2章まで公開)

「乙女だねぇ」
上を向いてぼんやりしていると、いつの間にか側に戻ってきていた悟が、耳元で囁いてくる。
「うっせ」
恥ずかしくなった俺は顔を真っ赤にしながら、悟の首に腕を回して羽交い絞めにした。
「てか、気安く“愛子ちゃん”って呼んでんじゃねーよ!」
「待って待って」と連呼しながら暴れる悟に、俺は冗談交じりでそう言った。
「健二も呼べばいいじゃん、付き合ってんだからさぁ。何を遠慮する必要があんの?」
俺の腕を両手で掴んで、首元を緩める悟は、おかしげに笑いながら聞いてくる。
「…別に、遠慮してるわけじゃないし」
腕をパッと放した俺は、口を尖らせながら、水の中にもぐった。