ひまわり(第2章まで公開)

パシャパシャと音を出しながら泳ぐ悟を眺めて、俺は水しぶきでついた水滴をふき取るように、顔を両手で拭いた。
頭上に広がる大空は、絵の具とかじゃ出せない色じゃないのかなって思うほど、青く澄みわたっている。
いつもは悟が悩んでいて、その相談にアドバイスを出すのが俺の役目なのに。
立場が逆転していることや、思っていたよりも悟の方が大人な考えを持っていたことに、少し悔しいなと思ってしまった。
大空や海を眺めていると、自分の抱えている悩み事が小さく感じた、ってドラマや映画の台詞で聞いた事がある。
だけど、今の俺はこの空を見たり、広い海の真ん中で浮かんでいても、自分がちっぽけに思うだけで、坂下に対しての不安が小さくなることはない。