悪い夢を見ているような気分だ。
もし、これが本当に夢ならば、俺は今すぐにでも頬をつねって、現実に戻るだろう。
「…久しぶり」
長い沈黙から逃れるかのように、三浦に話しかける俺。
声を出さないと、いつまでも時間は止まったままだと思ったからだ。
三浦は昔から、感情が表に出やすい奴だった。
嬉しいときは満面の笑みを見せるし、機嫌が悪いときはあからさまに嫌な表情をする。
だから、こいつが俺との再会を喜んでいないことは、顔を見ただけで解った。
まぁ、普通に考えて、喜ぶはずがないだろう。
自分を裏切った相手を、目の前にしているのだから。
「まだ続いてんだ?長いね」
喧嘩でもしているのかな、なんて思いながら話しかけていた。
坂下を見れば、俺と再会したことだけで沈んでいるようには感じなかったから。