ひまわり(第2章まで公開)

「あたしは、まだ昌平の彼女だよ」
坂下は俺の顔から目をそらして、小さくつぶやく。
「まだ、って言うくらい不安なんだろ?」
楽しそうにしていても、いつもふとした時に、彼女は泣きそうな表情に戻っていた。
「…不安じゃないよ」
今みたいに平気そうに振る舞うけれど、側にいると、ひしひしと彼女の気持ちが伝わってくる。
今まで、俺はそれにさえも気づかないフリをしていた。
「そうやって自分に言い聞かせてるんだろ?」
携帯をずっと気にしていたくせに。
全然、大丈夫じゃないくせに。
「言い聞かせて…ない」
途切れ途切れに言い返す彼女を見つめる俺は、居ても立ってもいられず、彼女の体を力いっぱい抱きしめた。