ひまわり(第2章まで公開)

「そういうの、ずるいと思う」
不満そうな表情で、彼女はぽつりとそう言った。
「何言ってんだよ、広…」
「だって、するいよ！健二くん、あたしのときもそうだった！」
慌てて止めようとした悟の声にも負けず、彼女ははっきりと俺に告げてくる。
「俺がずるい？」
何に対して言われているのかわからない俺は、話の続きを聞こうと思った。
「うん。健二くんさ、昔…あたしをデートに誘う時、友達としてって言ったよね？」
ムキになる彼女の言葉で、俺は高校１年の自分を思い出す。
あの頃の俺は、悟が好きな女だとわかっていても、広美ちゃんのことが気になっていた。
それは、彼女が坂下に似ていると思っていたからだ。
でも、広美ちゃんは警戒心が強く、誘っても簡単にOKの返事を出さない女の子。
男としてじゃなく友達としてと言わなきゃ、デートなんか出来なかったんだ。