ひまわり(第2章まで公開)

そのとき、向こうにいた1組の客が、テーブルの横にある伝票を手に、席を離れた。
「と、とにかく忙しいの!」
慌てた彼女はその言葉を置いて、会計をしにレジの方へと向かっていく。
からかいすぎたかなと少し反省した俺は、客が帰った後にもう一度、ボタンに手を伸ばした。
「次は何!?」
テーブルに着くなり、彼女は迷惑そうに、目を細めて問いかけてくる。
「今日、何時まで?」
アイスコーヒーを口にする俺は、にっこり微笑んで聞き返した。
てっきり仕事の邪魔をされると思っていた彼女は、きょとんとした顔になる。
「この席で待っとくから、飯でも食いにいこ」
俺は優しい口調で、彼女を食事に誘った。