ひまわり(第2章まで公開)

ドンッと目の前に置かれたポット。
水を飲んでいる途中、彼女は大きなため息をつき、俺が注文する前に水を用意していた。
「…自分で入れろと?」
睨んでくる彼女に、冷静な口調で問いかける。
「あたしは忙しいの。仕事中なの。水を入れるだけが仕事じゃないの!」
むくれた表情を俺の前に突き出して、勢いよく言い切る彼女。
感情的になる姿が可愛くて、思わず口元が緩んでしまう。
「今は暇な時間じゃなかったっけ?」
俺はひじをついて、手のひらでにやけた顔を隠し、窓の向こうを見た。
言い返す言葉が浮かばないのだろう。
窓ガラスに映る彼女は、悔しそうな表情で歯を食いしばっている。