ひまわり(第2章まで公開)

注文してから10分くらい経った頃、坂下は再び、俺のテーブルにやってきた。
「…お待たせしました」
働いているところを見られるのが嫌なのだろうか。
サンドウィッチを持ってくるまでの間も、俺のことを意識して何度もこちらを見ていた彼女は、店員としての台詞を恥ずかしそうにつぶやいている。
ストローでグラスの中にある氷をかき混ぜながら、置かれた皿を手前に引く俺は、側から離れない彼女を不思議そうに見上げた。
「戻らないと叱られるんじゃないの?」
と話しかけると、彼女は「今の時間は、まだ暇だから」と小さな声で答える。
確かに、広い店内にいる客は数組だけだった。