ひまわり(第2章まで公開)

すると、彼女はテーブルに置いてあるメニューを引き取りながら、ジッと俺の顔を凝視する。
「何?」
平然とした表情で、俺はズボンのポケットから出した携帯電話をいじりながら、首を傾げる。
「…別に」
素っ気ない口調に腹を立てたのか、彼女はムッとした顔をし、ぎこちない足取りで奥に戻っていった。

昨夜、彼女は携帯電話に届いたメールを見た瞬間、目に涙をためて、その場から動けなくなっていた。
心配になった俺は、何があったのかを知りたくて、彼女の携帯電話に目を向けた。
『疲れた 距離を置きたい』
白いメール画面に映っていたのは、絵文字や顔文字などもない、たった2行の文章だった。