「愛~して~るぅ~♪」
鼓膜が破れるかのような大きな音楽、甘い言葉が似合う薄暗い部屋。
数日後、俺は健二を連れて、カラオケボックスに来ていた。
優しげなバラードに身を委ね、自分の声に酔いしれていると、隣にいた健二がリモコンで音を消す。
「何回目だよ? この歌。聴き飽きたって」
「歌詞がいいんだよぉ、これ」
普段は歌わない曲を、何度も歌う俺。
健二は「ご機嫌だな」と言いながら、鼻で笑っている。
「で、広美って子とは、もう付き合ってんの?」
渇いた喉を潤わせていると、健二はリモコンを手にしながら問いかけてきた。