あきれて、黙り込む彼女。
ハァッというため息が、電話の向こうから聞こえてくる。
俺はモヤモヤしたままで、冷静になれなかった。
でも、沈黙にとまどい、次の言葉が出てこない。
このままじゃ電話を切られてしまう。
切られたら、今度は絶対に、竜介の電話にも出なくなる。
「代わろうか?」
下唇をきつく噛む俺に、竜介は片手を出して言う。
パニクった俺は、勢いで口を開いた。
「…お、お前は可愛いよ!!」
とっさに出た言葉は、これだった。
目の前の竜介は、この台詞に目を丸くして、まじまじと俺を見る。