「え?…わかんないよ。彼氏ができたことはメールで聞いてたけど、その人に会わせてもらったわけでもないし」
「え? アリバイ?…あたしじゃないけど」
一番に思いついたのは、広美の友人に聞いてみるということ。
その相手は、俺の元カノだった。
でも、彼女に聞いても、広美の彼氏の家はわからない。
「…そっか。ごめんな」
せっかく、気まずいところへ手を出したのに、前に進まない。
イライラが募っていく。
この子じゃないってことは、アリバイを頼んだのは中学時代の友人じゃないと判断する。
「くそっ。高校の友達とか…知らねぇし」
俺は電話を切った後、髪の毛をクシャクシャにして、舌打ちをする。