布団越しに体を叩く竜介は、大きな声で叫んでくる。
俺の眠気は、その言葉で吹き飛ばされた。
「は!?」
なんで?
処女を隠してたんじゃねーの?
広美が見栄を張ったために、これからの進展は遅いだろうと思い込んでいた俺は、突然の展開に驚き、起き上がる。
「昨夜、姉ちゃんが“友達んちに泊まる”って、母さんたちに話してたんだけど。姉ちゃん、さっき家を出る前に、友達に偽のアリバイの電話をしてたんだよ!」
竜介は俺の腕を引っ張りながら、広美を引き止めろと言ってくる。
「好きなんだろ? このまま行かせていーのかよ?」
「なぁ、サト兄!? 聞いてんの!?」