「…幼なじみ」
そう答えると、女は安心したのか、俺の背中にもたれてきた。
続きを求めるかのように、首の近くに唇を近づけてくる。
「ごめん、やっぱ眠いわ。…今日は帰ってくんない?」
俺は絡みつく腕から逃れて、冷たく言い放った。
そして、キレて帰る女を見送り、深いため息をつく。
びっくりした広美の顔が、目に焼き付いて離れない。
「何やってんの、俺…」
自分が何をしたかったのかさえ…わからない。
今まで、何度も似たようなことをしてきた。
見せつけるかのように、目の前で女とキスをしたり。
彼女ができるたび、自慢げに報告したり。
だからといって、広美がヤキモチを焼くことは、一度もなかった。
馬鹿みたいに…空回り。
いい加減、もう忘れてしまいたい。