みずたま(第3章まで公開)

「サト兄ってさ、わざと姉ちゃんにヤキモチを焼かせようとしてたり、思ってることと正反対のことばかり口にして、ほんと不器用だよね」
こんな風に、俺のことを見てるとは思わなかった。
「勝手に話を作ってんじゃねぇよ」
気持ち悪いくらいに図星を指されて、俺はイライラしていた。
うるせぇ。
こんなガキに、何がわかるんだよ。
言い返す言葉も見つからず、俺の眉間にはしわが寄っていたと思う。
「なんで、わざと傷つけること言うんだか…」
俺が機嫌を悪くしていることに気がついた竜介は、その言葉を置いて、逃げるようにマンションの中へ入っていった。