これって、よくドラマで見る光景。
あ然としている彼女に、俺はわざとらしく口を開く。
「…ノックぐらいしてほしいんだけど」
下で寝転がる女は、あわてて体を布団で隠す。
俺は平然と、広美に注意した。
「…あ、ごめん! また、今度にする!」
そう言って、動揺を隠せない表情のまま、広美は急いでドアを閉める。
パタパタパタ…と、玄関へ戻っていく足音。
「誰?」
下で寝転がったままの女が、扉をボーッと眺める俺に問いかけてくる。
俺はベッドから離れ、テーブルに置いていたペットボトルに手を伸ばした。