閉めきれていなかったのか、カチャ…という音が、静かな部屋に響く。
俺の腕に囲われた彼女は、口元をキュッと引き締めた。
顔をのぞき込むかのように、腰を曲げる俺。
そして、そっと彼女の唇を奪った。
“上手くできるか”なんて、考える余裕もない。
“こんな形で触れても、意味がない”
そんなプライドなんて、もういらないと思った。
想われていなくたって、今…目の前には広美がいる。
“触れたい”
“欲しい”
もう、そこには欲望しかなかった。
小刻みに震える彼女の唇に、強く強く重ねていく。