みずたま(第3章まで公開)

なんだかんだ考えながらも、広美とできることがうれしかった。
でも、それと同じくらい、悩む気持ちもある。
本当にしていいのか?
こんな形で広美に触れても、むなしいだけじゃ…。
これで、広美を振り向かせること…できんのかな?
浮かれては落ち込んで…を、何度も繰り返してきた。
数分後、インターホンの音が耳に入ってくる。
ビクッと反応する肩を押さえて、俺は玄関のドアをゆっくり開いた。
外の明るい日差しとともに、彼女の姿が視界に入る。
プリントが入った白のTシャツに、デニムのスカート。
髪は下ろしたままで、表情は凍りついたように固まっている。
「どーぞ」
俺はそっけなく声をかけて、扉を開けたまま、先に自分の部屋へ向かう。
手に、じんわりとにじむ汗。
靴を脱ぎ、後に続く足音が、背後から聞こえてくる。
俺は下唇を噛みながら、後戻りできない状況を受け入れた。