みずたま(第3章まで公開)

「…遅ぇな、アイツら」
健二は気まずさをもみ消すかのように、店の入り口に目を向けて、ささやいた。
俺らは、人を待っていた。
相手は、健二の彼女とその友達。
そう、後者のほうは、最近、俺と付き合い始めた女。
「どうすんの? 別れんのか?」
同じように外を眺める俺に、健二は軽い口調で問いかけてくる。
彼が言っているのは、その女とのこと。
俺は少し間を置いて、考える。
そして、ゆっくりとうなずいた。
健二は「了解」と言って、背伸びをする。
ぶっちゃけ、毎日、好きでもない女と会うのは、面倒だった。
こんな風に、付き合ってはすぐ別れる俺に、健二は文句の一つも言わず、合わせてくれている。
俺は、目の前にいる親友に対して、少し申し訳なく感じた。