みずたま(第3章まで公開)

俺が広美の心を手に入れる確率は、極めて低い。
「…アイツは俺のことを好きになんねぇよ」
目を閉じて、俺はポツリとつぶやいた。
重い空気を放つ俺に、健二はそれ以上、何も言ってこなかった。
ただ黙って、見守るかのように、ジュースを飲んでいる。
店内は、学校帰りの学生たちでいっぱいだった。
カウンターに立つ店員の声、奥の調理場から聞こえてくる水や機械の音、テーブルを前にして騒ぐ人々の笑い声。
いつもの俺なら、同じようにケラケラと笑いながら、ハンバーガーを食べているはず。
なのに、今は目の前のポテトさえ、喉を通らない。