広美の親友は、俺のことをすごく好きでいてくれた。
手作りクッキーや手編みのマフラー、時には放ったらかしにしていた課題まで、何でもしてくれる。
でも、俺の気持ちが変わることはなかった。
数カ月たっても、好きになることができなくて、適当に相手をしていた感じ。
いつでも俺の視線は、彼女の隣にいる広美へ向いてしまう。
今になって思い返せば、広美の近くにい続けるための理由として、彼女を利用していたのかもしれない。
不安がる親友を助けようと、広美はよく俺の家を訪ねて、説教をしていた。
まっすぐ俺を見て、真剣に話しかけてくる。
怒られているのに、俺はその時間を楽しく過ごしていた。
でも、広美は俺を何とも思っていない。
同じマンションに住む“幼なじみ”としか…見てくれない。
俺は、彼女の親友と別れてからも、好きでもない相手と付き合うことを繰り返している。
でも、広美を超えるほどの女がいるわけでもなくて…。
高校1年になった今でも、抜け出せないかごの中で苦しんでいる。