幼稚園から帰ると、俺と広美は毎日、帰宅してから待ち合わせをして、近所にある小さな公園の砂場や遊具で遊んでいた。
空に浮かぶ雲が、夕陽で橙色に染まってしまう時間まで、あどけない声を高らかにして、笑い合っていたんだ。
“ひろちゃん、こんどはスベリダイであそぼっ”
“うん!”
プラスチックのスコップとバケツを砂場に置いたまま、立ち上がる。
目と鼻の先にある遊具に行くまでも、俺は広美の手をギュッとつかんでいた。
泥まみれになった汚い手でも、遠慮なんかしない。
どこかに行くときは、必ず手をつないでいた気がする。