みずたま(第3章まで公開)

トントン…。
「サト?」
その夜、俺は黙々と部屋で、テレビゲームをしていた。
何も考えたくなくて、もうしんどくなるのも嫌で、無我夢中で画面に集中している。
「何?」
玄関から母親と話す声が聞こえていたから、広美が家に来たことには気づいていた。
でも俺は、部屋のドアを開けた彼女に振り返ることもなく、用件を尋ねる。
「あたしのこと探してたって、さっき竜介から聞いて。…あ、ごめんね! 携帯の音切ってたから、今さっき着信に気づいたの」
背を向けたままの俺に、広美はすまなさそうに謝ってくる。