みずたま(第3章まで公開)

それは、悟が邪魔できないようにするためだった。
一緒にいることに気づけば、きっといつもの商店街にある映画館に向かうはず。
簡単に邪魔なんかされたら、面白くもない。
彼女を誘うのさえ、面倒くさかったのだから。
昨夜、広美との電話を切る間際、健二は外で会うことを求めた。
だが、映画に誘った時、広美は“彼女いるでしょ”と即答する。
さすが、悟がてこずっている女。
真面目で、ガードが堅い。
“もちろん、友達としてだよ”と言って、何度も説得し、軽い口調でデートにこぎつけた。
でも、この前に会った時と違う化粧をしている時点で、広美の気持ちはまんざらでもない様子。